COLUMN

AWSのネットワークインターフェース「ENI」とは

クラウドへの代表的な4種類の接続方法の概要や特徴などをまとめた「比べて納得!クラウドへの接続方法」のダウンロードはこちら!

AWSを活用するためには、ネットワーク回線を準備したうえで、必要なネットワーク設計を行う必要があります。こうしたネットワーク設計を行うために、AWSではVPC(Amazon Virtual Private Cloud)やDX(AWS Direct Connect)、Amazon Route 53といったサービスを提供しています。

しかし、それだけでは不十分な場合もあるでしょう。AWSに複数のIPアドレスを設定する場合や、固定IPアドレスを付与したい場合などには、ネットワークインターフェースを柔軟に設定する必要があるのです。

今回は、AWSのネットワークインターフェースを設定するためのサービス、ENI(Elastic Network Interface)について解説します。

ENIとは

VPCを使えば、仮想的なプライベート環境にEC2を使ってサーバーを立ち上げることができます。こうした環境において、VPCに対してネットワークインターフェースを追加する役割を担うのがENIです。ENIは、物理的な環境におけるNIC(Network Interface Card)のことです。NICの場合は、サーバーに複数枚挿すことで、サーバーが担う複数の役割に応じてIPアドレスを複数持たせたり、異なるセグメント間で1台のサーバーを動作させたりすることができました。ENIも、仮想的な環境においてNICと同様のネットワーク設定ができるようになると考えてよいでしょう。近年では、どこにいても働ける環境を提供する「テレワーク」の普及といった影響から、ネットワークに関する要求レベルは高度化しています。NICを活用して必要なネットワーク設定を行うことで、ユーザーのニーズに応える必要があるのです。

仮想環境にあるとはいえ、EC2上で構築する仮想インスタンスの実態は、物理的なサーバーです。このため、設定できるIPアドレスの数には、選択するインスタンスに応じて制限がある点には注意が必要です。例えば、選択する仮想インスタンスのタイプが「a1.medium」であれば、ネットワークインターフェースの最大数は「2」で、ネットワークインターフェース当たりのIPv4アドレス、およびIPv6アドレスの数はそれぞれ「4」です。仮想インスタンスに設定したいネットワークインターフェース数やIPアドレス数も考慮に入れて、インスタンスタイプを選定するようにしましょう。

クラウドへの代表的な4種類の接続方法の概要や特徴などをまとめた「比べて納得!クラウドへの接続方法」のダウンロードはこちら!

ENIが実現可能なこと

物理的な環境であれば、ネットワークインターフェースを増加させるためには、サーバーに対してNICを挿す必要がありました。AWSの場合はENIに対して、IPアドレスの登録やMACアドレスの登録、セキュリティグループの登録など、必要な設定を行うことによりネットワークインターフェースを作成し、これを仮想インスタンスに取り付けたり、取り外したりすることをすべてWebブラウザ上で実現することができます。ただし、仮想インスタンスには、デフォルトのネットワークインターフェース(eth0)があらかじめ取り付けられています。このネットワークインターフェースは、取り外すことはできませんので注意が必要です。まずは、仮想インスタンスに対するネットワーク設定は、デフォルトのネットワークインターフェースに対して行い、さらにネットワークインターフェースを追加する必要がある場合は、ENIを追加していけばよいでしょう。

ENIを追加して使う必要があるケースの代表的なものとしては、管理用ネットワークの作成が挙げられます。ユーザーからのアクセスは、デフォルトのネットワークインターフェースで受け付け、メンテナンス等の管理目的のアクセスは、ENIにより追加したネットワークインターフェースで管理者用パソコンからのアクセスのみを受け付けます。このように、ユーザーからのアクセスと管理者からのアクセスを明確に区別することで、セキュリティレベルを強化することができます。

そのほかにも、ENIを使ってネットワークインターフェースを追加することで、ネットワークインターフェースの冗長化を実現することもあるでしょう。稼働系のネットワークインターフェースに障害が発生した場合、待機系のインターフェースに切り替わるプログラムコードを動かしておくこともできます。こうした仕組みを実現することで、障害発生時に、プライベートIPアドレス、Elastic IPアドレス、MACアドレスを待機系のネットワークインターフェースに引き継いで、ダウンタイムを最小化しながらサービスを継続することができます。

ENIには、さまざまなネットワーク設定をすることができます。設定できる内容の詳細は以下の通りです。

  • プライベートIPv4アドレス(VPCのアドレス範囲内)の設定
  • 固定IPアドレス(Elastic IPアドレス)の設定
  • IPv6アドレスの設定
  • セキュリティグループの設定
  • MACアドレスの管理
  • ルーティング情報の設定

クラウドへの代表的な4種類の接続方法の概要や特徴などをまとめた「比べて納得!クラウドへの接続方法」のダウンロードはこちら!

ENIにかかる料金

AWSの場合、ENIの利用により直接的に必要となる追加費用はありません。選択したインスタンスモデルに応じてネットワークインターフェースの数に制限はありますが、制限範囲内であれば追加費用を負担することなく、ENIを利用することができます。しかし、ENIを追加することに関連した費用負担が発生する可能性があるので注意しましょう。まず考慮するべきは、ネットワークトラフィックの増加です。ENIを追加するとネットワークインターフェースが追加されることになるため、一般的にはネットワークトラフィックが増加します。したがって、ENIを追加することで、AWSの利用料が増加する可能性が高いのです。

そのほかにも、追加したネットワークインターフェースに、Elastic IPと呼ばれる固定グローバルIPアドレスを割り当てる場合は追加費用が発生することがあります。仮想インスタンスにつき1つのElastic IPを割り当てるのであれば無料ですが、2つ以上割り当てる場合は追加費用が発生しますので、注意しましょう。

また、複数のネットワークインターフェースを追加するために、ネットワークインターフェースを数多く追加できるインスタンスモデルを選定した場合、AWSの利用料が上がることも考慮に入れてください。ENIを使う場合は、直接的に増加する料金はありません。しかし、ネットワークトラフィックの増加やElastic IPの追加などを通じて、間接的に料金が上がる可能性があることも留意しておいてください。

クラウドへの代表的な4種類の接続方法の概要や特徴などをまとめた「比べて納得!クラウドへの接続方法」のダウンロードはこちら!

ENIを上手に活用したネットワーク設計を

従来型の物理的なオンプレミス環境においては、複雑なネットワーク構成を実現するために、複数枚のNICをサーバーに挿し、IPアドレスやMACアドレスを設定して対応してきました。ネットワーク構成が複雑になればなるほど、物理的な配線も複雑化し、サーバールーム内が絡まった配線で足の踏み場もない、という経験をしたシステム担当者も少なくないのではないでしょうか。

こうしたネットワーク構成に対するニーズは、たとえサーバーを物理的な環境からAWSの仮想的な環境に移した場合でも変わりません。しかし、AWSの仮想的な環境においては、従来の物理的な環境で求められたネットワーク機器や複雑な配線からは開放され、クリックひとつで必要な設定を行うことができます。そして、そのネットワーク設定の要になるのがENIです。AWSを運用する際は、仮想的なNICとも言えるENIを上手に活用して、複雑化するユーザーのニーズに応えるネットワーク環境を実現してください。

クラウドへの代表的な4種類の接続方法の概要や特徴などをまとめた「比べて納得!クラウドへの接続方法」のダウンロードはこちら!

AWS導入に向けて他に知っておくべきこと

AWSの各サービスは構築する情報システムによって利用適性が異なります。実際の構築にあたってはクラウド導入・運用支援事業者が提供している支援サービスを活用することで、自社の検討・構築・運用工数の削減が期待できます。

Amazon Web Services(AWS)は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

ネットワークからクラウドまでトータルサポート!!
NTT東日本のクラウド導入・運用サービスを確認してください!!

ページ上部へ戻る

無料ダウンロード

自社のクラウド導入に必要な知識、ポイントを
このに総まとめ!

あなたはクラウド化の
何の情報を知りたいですか?

  • そもそも自社は本当にクラウド化すべき?オンプレとクラウドの違いは?
  • 【AWS・Azure・Google Cloud】
    どれが自社に最もマッチするの?
  • 情シス担当者の負荷を減らしてコストを軽減するクラウド化のポイントは?
  • 自社のクラウド導入を実現するまでの具体的な流れ・検討する順番は?

初めての自社クラウド導入、
わからないことが多く困ってしまいますよね。

NTT東日本では
そんなあなたにクラウド導入に必要な情報を

1冊の冊子にまとめました!

クラウド化のポイントを知らずに導入を進めると、以下のような事になってしまうことも・・・

  • システムインフラの維持にかかるトータルコストがあまり変わらない。。
  • 情シス担当者の負担が減らない。。
  • セキュリティ性・速度など、クラウド期待する効果を十分に享受できない。。
理想的なクラウド環境を実現するためにも、
最低限の4つのポイントを
抑えておきたいところです。
  • そもそも”クラウド化”とは?
    その本質的なメリット・デメリット
  • 自社にとって
    最適なクラウド環境構築のポイント
  • コストを抑えるため
    具体的なコツ
  • 既存環境からスムーズにクラウド化
    実現するためのロードマップ

など、この1冊だけで自社のクラウド化のポイントが簡単に理解できます。
またNTT東日本でクラウド化を実現し
問題を解決した事例や、
導入サポートサービスも掲載しているので、
ぜひダウンロードして読んでみてください。

クラウドのわからない・
面倒でお困りのあなたへ

クラウドのご相談できます!
無料オンライン相談窓口

NTT東日本なら貴社のクラウド導入設計から
ネットワーク環境構築・セキュリティ・運用まで
”ワンストップ支援”が可能です!

NTT東日本が選ばれる5つの理由

  • クラウド導入を
    0からワンストップでサポート可能!
  • 全体最適におけるコスト効率・業務効率の改善
    中立的にご提案
  • クラウド環境に問題がないか、
    第3者目線でチェック
    してもらいたい
  • 安心の24時間・365日の対応・保守
  • NTT東日本が保有する豊富なサービスの組み合わせで
    ”課題解決”と”コスト軽減”を両立

特に以下に当てはまる方はお気軽に
ご相談ください。

  • さまざまな種類やクラウド提供事業者があってどれが自社に適切かわからない
  • オンプレミスのままがよいのか、クラウド移行すべきなのか、迷っている
  • オンプレミスとクラウド移行した際のコスト比較を行いたい
  • AWSとAzure、どちらのクラウドが自社に適切かわからない
  • クラウド環境に問題がないか、第3者目線でチェックしてもらいたい
  • クラウド利用中、ネットワークの速度が遅くて業務に支障がでている

クラウドを熟知するプロが、クラウド導入におけるお客さまのLAN 環境や接続ネットワーク、
クラウドサービスまでトータルにお客さまのお悩みや課題の解決をサポートします。

相談無料!プロが中立的にアドバイスいたします

クラウド・AWS・Azureでお困りの方はお気軽にご相談ください。